2020年度は、社會が従來にも増して大きく、かつ急速に変化した1年でした。新型コロナウイルス感染癥の拡大を機に人々の生活や働き方が一変し、安全?安心に対する意識も高まりました。企業活動にも大きな影響を及ぼしています。加えて、脫炭素に向けた動きも加速しました。日本を含む各國が政策を打ち出し、企業に対しても溫室効果ガス排出量削減の目標設定と達成責任が強く求められています。
當社は、空調機器と冷媒の両方を製造する世界で唯一のメーカーとして、環境技術を生かした製品?サービスを世界中に提供してきました。
主力事業である空調は、暑い地域の室內環境に変革をもたらし、社會を支えるインフラの一つとして定著しました。熱中癥の予防や空気質の改善を通じて人々の健康に寄與し、労働効率の向上による経済発展にも貢獻しています。
一方で、空調の普及は電力使用量を増加させ、地球溫暖化に影響を與えます。新興國の経済発展などに伴って、空調需要は2050年に現在の3倍になると予測されています??爝mな空気環境を世界中へ提供しながら、將來にわたって溫暖化影響を限りなく低減することが當社の社會的使命です。
2025年を目標年度とする戦略経営計畫「FUSION25」は、脫炭素化をはじめとした社會の急激な変化をチャンスと捉え、持続可能な開発目標(SDGs)を念頭に、環境?社會貢獻を果たしながら事業も成長?発展させ続けるという思いのもと、未來のありたい姿を起點としたバックキャスティングで策定しました?!弗单攻匹圣芝肷鐣丐呜暙Iとグループの成長の実現」をめざす姿とし、成長戦略テーマとして「カーボンニュートラルへの挑戦」「顧客とつながるソリューション事業の推進」「空気価値の創造」の3つを掲げています。
「カーボンニュートラルへの挑戦」では、2050年の実質排出ゼロに向けた中間目標を設定しました。2030年に、ライフサイクル全體を通じて溫室効果ガス実質排出量を、2019年度を基準としたBAU※比で50%以上の削減をめざします。モノづくりでのエネルギー使用量削減、環境調和製品の普及拡大、ヒートポンプ暖房?給湯事業の拡大に加え、冷媒回収?再生?破壊システムの構築?事業化や創エネなど環境新事業、CO2の分離?回収?再利用などの新技術の開発に取り組みます?!割櫩亭趣膜胜毳渐辚濠`ション事業の推進」では、人々の新たなニーズに応えるコトづくりを、そして「空気価値の創造」では、安全?安心、健康?快適など人々の暮らしを豊かにする新たな空気環境づくりなどを進めていきます。
加えて、強靭なサプライチェーンの構築やデジタル化の推進など、経営基盤の強化?変革にも注力します。
「FUSION25」を達成するためにも、當社成長の礎である「人を基軸におく経営」に磨きをかけ、グループ全體で高めていくことが重要です。
世界160カ國以上に8萬人超の従業員を擁する當社グループの最大の強みは、文化?民族?世代?生活習慣の異なる多様な人材を糾合し、一人ひとりの個性や強みを組織の力として生かすことで「イノベーションの創出」「グループの総合力?競爭力の向上」につなげる「ダイバーシティマネジメント」です。これを競爭力の源泉とし、國境を超えて世界各地の人材をよりダイナミックに生かす施策や、ニューノーマル時代にふさわしい、働く環境づくりと、當社獨自の柔軟で新しい人事制度?施策を大膽に展開し、一人ひとりの意欲を高めて成果創出につなげていきます。
當社は2008年から人権、労働、環境、腐敗防止の4分野に関する10原則を定めた國連グローバル?コンパクトを支持しています。
また、2019年に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同し、財務情報と併せ、気候変動を含む環境?社會?ガバナンス(ESG)情報の開示に注力しています。
社會に貢獻しながら成長する企業として、お客様、株主?投資家、調達取引先、従業員、地域社會などさまざまなステークホルダーの期待にこれからも応え続けます。
ダイキン工業株式會社
代表取締役社長兼CEO
十河政則